初期スタートアップのプロダクトロードマップの作り方:Now・Next・Laterで、目標にひもづける
スタートアップのプロダクトロードマップは、日付入りのガントチャートより、2〜3個の目標にひもづくNow・Next・Laterの3列が効果的です。作り方と公開の仕方を解説します。
目次
初期スタートアップのプロダクトロードマップは、今後6か月の目標を2〜3個書き、その下にNow(今)、Next(次)、Later(その後)の3列を置く形が適しています。Nowには担当者のいる確約済みの作業、Nextには根拠のある課題、Laterには賭けを入れます。今の四半期より先には日付を入れません。毎月見直し、Nowの各項目を目標にひもづけ、バックログとは分けて管理します。
これは私たちが運営するすべてのプロダクトで使っている形式で、相談してくれた創業者にも勧めています。日付入りのガントチャートのほうが本格的に見えますが、プロダクトマーケットフィット前の段階では6週間より先の日付はすべて推測です。推測だらけのロードマップは無視されるか、守れない約束になります。この記事では、Now/Next/Laterのロードマップを午後のうちに作る方法、目標やアイデアとのつなぎ方、顧客や投資家に見せるタイミングを説明します。
スタートアップのロードマップの役割と、役割でないもの
ロードマップが答える問いは1つです。何に、どの順番で、なぜ取り組むのか。まずはコミュニケーションの道具です。読むのはチーム、投資家、ときには顧客、そしてその順番がなぜ妥当だったかを忘れている3か月後の自分です。
バックログでも、リリース計画でも、約束のリストでもありません。それらも別に存在し、混同することが初期のロードマップが失敗する最も多い原因です。140項目あるロードマップは、名前を変えたバックログです。すべての行に日付があるロードマップは、誰も守れないリリース計画です。
ロードマップ、バックログ、リリース計画の違い
| ロードマップ | バックログ | リリース計画・サイクル計画 | |
|---|---|---|---|
| 答える問い | どの課題に、どの順で、なぜ取り組むか | 具体的にどんな作業ができるか | 今後数週間で何を出すか |
| 単位 | 成果または課題(「新しいチームが最初のセッションで価値を得る」) | 課題、ストーリー、タスク | 期間に割り当てた課題 |
| 一般的な規模 | 8〜15項目 | 数十〜数百 | 10〜30件 |
| 期間 | 6〜12か月、ほぼ日付なし | 期限なし | 1〜4週間 |
| 読み手 | チーム、投資家、ときに顧客 | チーム | チーム |
| 更新頻度 | 毎月 | 毎日 | サイクルごと |
3つはつながっています。ロードマップのNow項目はプロジェクトやエピックになり、その課題はバックログに入り、そのうちいくつかが今のサイクルに取り込まれます。サイクルの課題からロードマップの項目へ、そこから目標へと線をたどれるなら、仕組みは機能しています。
初期段階でNow/Next/Laterが日付入りガントチャートに勝る理由
Now/Next/Later形式は、ProdPadの共同創業者Janna Bastowが考案したもので、本人がその成り立ちを、最初は「Current / Near term / Future」と題したスケッチだったと説明しています。中心にある考え方は、締め切りを時間の幅に置き換えることです。これにより、確実さはタイムライン全体に均等に装うのではなく、左から右へ下がっていきます。
スタートアップにとって、これは現実に合っています。
- Nowは今後4〜6週間です。何を作り、誰が担当するかが分かっています。
- Nextはおおむね次の四半期です。課題は分かっていて根拠もいくらかありますが、解決策は未定です。
- Laterはそれ以降のすべてです。仮説と、それを見える場所に置いておく理由があります。
ガントチャートは、まだ設計していない作業、まだいないかもしれない顧客のために、開始日と終了日をでっち上げることを強います。日付がずれれば(必ずずれます)、ロードマップは信頼を失い、誰も読まなくなります。Now/Next/Laterなら、近い将来については正確に、それ以外については正直でいられます。
日付にも居場所はあります。カンファレンス、規制上の期日、契約上のマイルストーンのような外部の固定期限があるなら、その項目に制約として書き込みます。ただ、存在しない日付を作り出さないことです。
Now/Next/Laterロードマップを午後のうちに作る方法
創業者と、プロダクトとエンジニアリングの責任者で3時間確保します。ホワイトボードか共有ページ、前四半期の顧客メモ、指標を用意します。
1. 今後6か月の成果を2〜3個書く
機能ではなく目標から始めます。「3月までに有料の20チームが毎週プロダクトを使う」は成果です。「Slack連携を作る」は成果ではありません。成果は2〜3個で十分で、5個あるなら選べていないということです。すでにOKRを使っているならこれが目標(Objective)で、書き方はスタートアップのOKRの決め方で解説しています。
2. アイデアと根拠を1か所に集める
候補をすべて1つのリストにまとめます。機能要望、商談メモ、サポートチケット、チームが直したいもの。それぞれの横に根拠を書きます。何社が求めたか、何が動くか、今どんなコストがかかっているか。根拠のないアイデアもロードマップに載せられますが、Laterに入れ、賭けと明記します。
3. Now、Next、Laterに振り分ける
各項目について問います。成果のどれかに役立つか、どれくらい確信があるか。役立ち、解決策も分かっているならNow。役立つが解決策が未定ならNext。興味深いが未検証ならLater。どの成果にも役立たないものはLaterではなく、ロードマップから外します。Nowは、チームが今後6週間で実際に着手できるものに絞ります。5人のチームなら通常2〜4項目です。
4. 各項目を機能ではなく課題として書く
「新しいユーザーが最初のプロジェクトを見つけられない」は「オンボーディングを作り直す」より優れています。最も安い解決策の余地を残し、その項目がなぜあるのかを読み手に伝えるからです。うまくいったとどう判断するかを1行添えます。
5. Nowの項目を目標と作業にひもづける
Nowの各項目に、担当者、役立つ成果、作業を担うプロジェクトやエピックへのリンクをつけます。この手順が、ロードマップをスライドではなく仕事の道具にします。チームがなぜそれを作っているのかと聞かれたら、答えはワンクリック先にあります。
私たちのプロダクトロードマップのテンプレートには、この構成がコピーできる形で入っています。上部に成果、Now/Next/Laterの列、根拠と担当者の欄、見直しのセクションです。
ロードマップの項目を目標とアイデアにつなぐ
ロードマップは2つのリストの間にあり、それらをつなぎ続けることが仕事の大半です。
アイデアがロードマップを育てる。 誰でも根拠つきで提案を入れられる、1つのアイデア受付箱を用意します。毎月それを見直し、強いアイデアをNextに上げ、既存の項目に新しい根拠を足し、残りはアーカイブします。2か月で5社の顧客から根拠が集まったアイデアは、議論する価値があります。
目標がロードマップを評価する。 Nowの各項目は、主要な成果指標(キーリザルト)を動かすはずです。Nowの項目を終えてもキーリザルトが動かないなら、それは情報です。項目が間違っていたか、指標が間違っていたかのどちらかです。毎週または隔週の目標のチェックイン(ステータスと1文)が、これを正直に保ちます。
新しく入った人と用語を共有する必要があれば、用語集のプロダクトロードマップの項目に各用語の短い定義があります。
ロードマップを公開するタイミングと相手
全員が同じ版を必要としているわけではありません。
| 相手 | 見せるもの | 頻度 |
|---|---|---|
| チーム | 根拠、担当者、Laterの賭けを含むすべて | 常に見える状態で、毎月見直し |
| 投資家 | 成果、NowとNext、前回の報告以降に学んだこと | 毎月または四半期ごとの報告 |
| 顧客 | Nowと一部のNext項目を、解決中の課題として。日付なし | 変更があったとき、または求められたとき |
| 商談中の見込み客 | 関係する1〜2項目を、約束ではなく方向性として | ケースごと |
求める顧客がいるなら、顧客向けに公開する価値があります。プロダクトが生きていることを示し、役立つフィードバックを呼び込み、営業が独自に約束するのを防ぎます。安全に公開するルールは2つ。機能ではなく課題を見せること、Nowより先には決して日付を入れないことです。GitHubの公開ロードマップは注意書きの良い手本です。項目は確約ではないこと、日付は変わりうること、顧客は購入判断の根拠にすべきでないことを明記しています。
まだ顧客がいないなら社内にとどめ、投資家には月次報告で共有します。
見直しの頻度
- 毎週: 何もしません。ロードマップは1週間で動くべきではありません。それはサイクル計画の役目です。
- 毎月: 45分の見直し。終わったNow項目を外し、Nextから上げ、アイデア受付箱から根拠を足し、成果がまだ妥当かを確かめます。
- 四半期ごと: 成果を書き直します。今後6か月が同じ方向を向いているかを決めるのはここです。
ロードマップが毎週変わるなら、バックログとして使っています。3か月変わっていないなら、誰も使っていません。
スタートアップのロードマップに使うツール
始めるのに専用ツールは要りません。2026年10月時点でよく使われる選択肢は次のとおりです。
| 選択肢 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 共有ドキュメントやページ | 最初の1年。誰でも編集でき、多くのツールで無料 | 実際の作業にリンクしないと古くなる |
| ProdPad | Now/Next/Later、アイデア管理、フィードバックを1つのプロダクトツールにまとめたいチーム | タスク管理ツールと同期させるツールが1つ増える |
| Linearのイニシアチブ | すでにLinearを使うチーム。プロジェクトを会社の目標ごとにまとめ、ステータスと目標日を持つ | Now/Next/Laterの列ではなく、プロジェクトと日付で整理される |
| Atrix | アイデア、目標、ロードマップ、作業を1つのワークスペースにまとめたい小さなチーム | 無料プランなし。Now/Next/Laterは専用ボードではなくページで管理 |
Linearのイニシアチブのドキュメントでは、イニシアチブを共通の目標のもとにプロジェクトをまとめたもので、それぞれにステータス、オーナー、目標日があると説明しています。プロジェクトができてからのNowとNextの層としてうまく機能します。
Atrixは私たちが作っているツールなので、できることとできないことを書きます。アイデアには専用の受付箱があり、シグナルとブリーフを追加でき、準備ができたアイデアはプロジェクトに昇格できます。目標にはキーリザルトとチェックインがあり、一部のキーリザルトは課題、商談、採用から自動で更新されます。ロードマップには、イニシアチブとマイルストーンがステータスと課題数とともに表示されます。Now/Next/Laterの列そのものは、テンプレートから作ったページで、それらのプロジェクトや目標にリンクするもので、別のボードビューではありません。無料プランはなく、7日間の試用のみです。プロジェクト、サイクル、バックログが下でどう組み合わさるかはプロジェクト管理のページで説明しています。
よくある質問
スタートアップのプロダクトロードマップには何を入れるべきですか?
今後6か月の成果を2〜3個と、Now、Next、Laterに振り分けた短い課題のリストです。Nowの各項目には担当者、役立つ目標、作業へのリンクが必要です。Nextの項目には根拠を添え、Laterの項目は賭けと明記します。
初期スタートアップのロードマップはどこまで先を描くべきですか?
6〜12か月で、詳細なのは今後4〜6週間だけです。今の四半期より先は日付ではなく時間の幅を使います。初期段階の計画の多くは変化が速すぎて、日付入りの12か月ビューは事実であり続けられません。
ロードマップとバックログの違いは何ですか?
ロードマップは、少数の課題や成果を優先順に並べ、その理由を説明します。バックログは、それを実現しうる具体的な課題やタスクを並べます。ロードマップは毎月、バックログは毎日変わります。
スタートアップはロードマップを公開すべきですか?
求める顧客がいるなら、たいていは縮小版で公開すべきです。Nowと一部のNext項目を課題として書き、Nowより先には日付を入れず、確約ではないとはっきり書きます。根拠とLaterの賭けは社内にとどめます。
Now/Next/Laterはタイムライン型のロードマップより優れていますか?
初期スタートアップなら、たいていはそうです。不確実さに正直で、日付をでっち上げません。タイムラインは、外部の固定期限があるチームや、納期が予測しやすい成熟したプロダクトに向いています。本当の期限がある項目には、個別に日付を入れられます。
次のステップ
プロダクトロードマップのテンプレートをコピーし、まず成果を書き込んでください。ロードマップ、その元になるアイデア、その下の作業を1つのワークスペースで扱いたいなら、スタートアップ向けのAtrixをご覧ください。
出典
2026年10月に確認:ProdPadによるNow-Next-Laterの成り立ち、ProdPadの機能、GitHubの公開ロードマップ、Linearのイニシアチブ。